今夜 君をさらいにいく【完】
「・・・お前は三条と付き合ってるんじゃないのか」
「え!?」
思いもよらぬ問いかけに、私は顔を上げた。そこには真っすぐに私を見つめる黒崎さんの瞳があった。
私は何度この瞳に胸をときめかせてきたのだろう。
「いえ、三条君とは付き合ってませんが・・・」
「・・・そうなのか・・・」
口元がほころんでいる。一体どういうことなんだろう。
黒崎さんは、ずっと私と三条君が付き合っていると勘違いしていたのだろうか。
「あの・・・こんな事言われてご迷惑かもしれませんが・・・」
そう言いかけた瞬間、黒崎さんの胸元に顔が当たった。
私は黒崎さんに抱きしめられていた。
「く・・・黒崎さん!?」
何が起こっているのかわからない。夢でも見ているのだろうか。
彼の腕の力はしばらく緩まなかった。
「俺も信じられない」
「え?」
「お前らが付き合っていないとわかって、こんなにもホッとするなんてな」
抱きしめる力が緩んだと思ったら、今度は私の顔をしっかりと見つめてくる黒崎さん。
あまりにも距離が近いので、恥ずかしくなる。