今夜 君をさらいにいく【完】

そして私の唇に、黒崎さんの柔らかく、温かい唇が重なった。

その瞬間、いつも黒崎さんの側に行くと感じていた、あの清潔そうな香りが私を包み込んだ。


何が起こっているのか全く理解できない。



なぜ黒崎さんは私を抱きしめているのだろう。


なぜ、キスしているのだろう。



そっと唇を離すと、私に言った。



「悪い、驚かせたな」


「・・・あの・・・」


「俺も同じ想いだということだ」



私は驚いて言葉がでなかった。


信じられない。黒崎さんが私を・・・好き・・・?



「嘘・・・」



「自分自身も驚いてるよ。まさか俺がお前に惚れるなんてな。でも最近、今までにない変な感情に戸惑っていた。気付くとお前を目で追っていたり、三条と一緒にいるところを見るといらついたり・・・な。」




そんな。まさか・・・



でも思い当たる事はいくつかある。


そういえば今日も休憩が重なった私達に声を掛けてきたっけ。


私に用事を言いつけたのもわざとだったのだろうか。


胸が熱くなってくる。

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