今夜 君をさらいにいく【完】
「嬉しいです・・・私もずっと・・・ずっと好きでした・・・!」
まるで少女マンガのワンシーンのようなセリフを言い、私はもう一度黒崎さんの胸に飛び込んだ。
背が高く、がっしりした体が優しく私を包み込んでくれている。
「今日はもう遅い。俺のマンションはすぐ近くだから、泊まっていけ」
「・・・え!?」
「妹に連絡しとけよ」
体が離れると、黒崎さんは帰る支度を始めた。
と・・・泊まっていけって・・・
今、心に余裕がない。頭の中もちゃんと整理ができていない状態だ。
胸の鼓動が治まらないまま、綾にメールを送り、私も急いでPCをシャットダウンした。
黒崎さんのマンションは会社から徒歩10分くらいの場所にあった。外観は白とダークブラウンを基調としたオシャレなデザインだ。
駅からも近い上に、こんなに真新しいのだから、家賃はきっと10万以上だろう。
黒崎さんは慣れた手つきでオートロックを操作すると、ピカピカの自動ドアがすぅっと静かな音を立てて開かれた。
さっきから全く会話がない。
黒崎さんは元々無口なほうではあるが、一緒にいてこんなにも息苦しいと感じたのは初めてだ。
それだけ私はこれから起こるであろう出来事を意識してしまってるんだと思う。