今夜 君をさらいにいく【完】
1201号室。高鳴る鼓動を抑えながら、私は黒崎さんに続いて中に入った。
「お邪魔します・・・」
広い玄関には靴が綺麗に並べられてあった。リビングも広々としていて、余計な物が一切置いていない。まるでモデルルームのようだ。
家具も黒と白で統一しており、私はその黒光りしているローテーブルに買い物袋を置いた。
歯ブラシと、洗顔フォーム、化粧水などが入ったトライアルセットを帰路の途中、コンビニで買ったのだ。黒崎さんと一緒に帰るというだけでも驚きなのに、そういったお泊りセットを買うことになるとは、想像もつかなかった。
黒崎さんがジャケットを脱いでダイニングテーブルの椅子にかけた姿にはどきりとした。
これから私はどうなるのか。
不安と期待が半々に入り混じっているこの心の中は、なんて騒がしいものなんだろう。
「綺麗に片づけてあるんですね、さすがですっ」
キッチンでミネラルウォーターを飲んでいる黒崎さんが、ちらっと私を見て言った。
「寝に帰ってきてるだけのようなもんだからな」
「・・・そうなんですか・・・」
「先に風呂入ってこいよ」
「あ、はい!」