今夜 君をさらいにいく【完】
トクトクと、また鼓動が速く鳴り始める。
しかしそんな私の気持ちとは裏腹に、黒崎さんは静かにベットに入り、電気を消した。
・・・あれ?
そっと黒崎さんの方を振り返ると、反対方向を向いて眠っている。
私は少しほっとしたのと同時に、虚しさがこみ上げてきた。
何を期待していたんだろう。
もしかしたら黒崎さんは私をそういう対象に見ていないのかもしれない。好きだとは言われたが、はたしてそれが本当に恋愛感情なのかはわからない。
だって、同じベットに入っているのに、何もしないで眠れる?
もしかしたら私に魅力がないのかもしれない。三条君だって何もしてこなかったのだから。
惨めな気持ちになって涙が溢れてきた。
物凄く期待してしまっていた自分が恥ずかしい。
鼻をすする音が聞こえたのか、黒崎さんが体を起こした。
「・・・桜井、どうした」
やばい・・・!
私は泣いているのを気付かれないように、顔を布団の中に潜らせた。
「・・・いえっ・・・なんでも・・・」
その時、布団を勢いよく剥がされた。
「泣いてるのか?」
見られてしまった。
なんて言い訳しようか考えていると、黒崎さんが小さくつぶやいた。