シークレット ハニー~101号室の恋事情~
そう笑った五十嵐さんが「なんで慣れてると思ったの?」と聞いてくるから、答えに困る。
「だって……すぐそういう気にさせられると言うか……うまいから」
言葉を選んだハズなのに、結局恥ずかしいカミングアウトをさせられて顔が熱を持つ。
五十嵐さんはそんな私に余裕の微笑みを向けた。
そして「そんな風に思ってくれてたんだ」と言って嬉しそうに笑う。
ほら、やっぱり慣れてるじゃない。
私の経験値の低さも問題なのかもしれないけど、私はこんな風に自然にキスしたりできないし、甘い言葉だって囁けない。
それなのに五十嵐さんは、恋愛の一から十までを余裕の笑みを浮かべながら、まるで片手間でこなしてしまうから少しだけ悔しい。
私はただキスされているだけでいっぱいいっぱいなのに、五十嵐さんはそうじゃないみたいで。
私に惑わされたりしないのかな、なんて図々しい事を考えたりしながらも、丁寧で情熱的なキスに頭がぼんやりとしていく。