シークレット ハニー~101号室の恋事情~
例え経験値の差からくる余裕だとしても。
私はこのキスに惑わされない日がくるとは到底思えないのだけど。
五十嵐さんは一体どんな修行を積んだんだろう。
ぼんやりと霞んだ思考回路が色々回り道しながらもそんな疑問にたどり着いた時。
私の鞄の中で携帯が鳴った。
「あ、五十嵐さん、電話が……」
「うん。……ごめん」
会話がかみ合わない。
ごめんってなに?
「あの、電話が鳴ってるので離してください。
あの……五十嵐さん?」
キスを中断させた私を、五十嵐さんがソファに押し倒す。
そして、「ごめん。止まれない……」と掠れた声で囁いた。