シークレット ハニー~101号室の恋事情~
だって、違うもの。
私が聞きたかったのはそんな事実じゃなくて、その時の五十嵐さんの気持ちで、もっと言えば弱音だ。
ツラかっただろうから、その時の感情を話して欲しかったんだ。
少しでもそれで和らげばって、そう思ってたのに。
無理して笑う姿をじっと見つめてから立ち上がって、ソファに座る五十嵐さんの目の前に立つ。
そして、そっと頭を抱き締めた。
「甘えていいですよ」
葉月?と不思議そうに呼ぶ五十嵐さんに、そう呟く。
五十嵐さんが傷ついているんじゃないかとか、ツラい思いを吐き出せていないんじゃないかとか、そんなのは私の勝手な思い込みかもしれない。
だけど、私が今こうしたかったから。
ぎゅっと抱き締めていると、五十嵐さんはしばらく黙ってじっとしていたけれど。
そのうちにふっと笑みをこぼして、私の背中に腕を回した。