シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「……少し、言い過ぎたかもしれませんけど。
紅茶もおいしかったですし」


ぼそぼそと言う私を五十嵐さんが見る。


「けど、だからって私の秘密を、とかはおかしいと思います。
第一私は一般庶民なので、五十嵐さんの秘密の代わりに差し出せるような秘密なんかないですし」


こうなったら会社名と会社の電話番号も書くからそれで納得してくれませんか。

そう提案すると、五十嵐さんは「んー」と唸った後、まぁいっかと頷いてくれた。
それを聞いて、ほっと安堵のため息をついたのに。

五十嵐さんが続けたのは、私の想像したのとは違う言葉だった。


「雨宮さんの秘密ならもう知ってるしね。それでおあいこにしとくよ」


……私の秘密?
気になる言い方をされて顔をしかめると、五十嵐さんはそんな私を見てにっこりと微笑んだ。

なに、秘密って。
私、そんな弱みを握られるような事をしたっけ?
そもそも、そんな他人に秘密にしなくちゃいけないような事なんかある?

五十嵐さんが知ってるって事は、生活上の事だろうけど……なに?



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