シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「雨宮さんはどう思う?」
「営業店側も住所まで書く決まりを分かっててスルーしている事なので、そこまで厳しく言わなくてもいいとは思いますが……。
住所がなくてもどこのお店かは分かってるでしょうし。
ただ注意事項に載せておかないと、監査課が気づかなかったと上に判断されそうですし。
なので、紙面上の注意に留まらせるのが一番かと」
「なるほどね。じゃあそれでいこう」
「いいんですか?」
「いいよ。営業店側にも俺たちには分からない事情があるのは分かるから。
今まで窓口業務をしていた雨宮さんが言うなら間違いないだろう」
課長と働いてみて分かったけれど、課長は部下の考えを聞いてその上で決断を下してくれる。
それはとても嬉しく思うのだけど、逆に言えば結構プレッシャーでもあって。
自分の考えを通してくれた課長の顔に泥を塗っちゃダメだという気持ちが日々燃え上がっている。
それは他の人も同じなのか、もともと仕事にかなり熱心な人達なのかは分からないけれど。
とりあえず、監査課の人は全員必死に黙々と仕事をこなしていくから、予定より半日残して仕事を終える事も珍しくなかった。