シークレット ハニー~101号室の恋事情~


吉田さんとは歳も近そうだけど、異動してきて2か月、仕事以外の話なんてしたことないから、こんな風に優しくされるのも当然初めてで戸惑う。
使っていた部屋のドアを開けて、それから営業店に続く通路のドアを開けて。

段ボールを置いたところで、吉田さんが私を見た。


「コーヒーでも入れていこうか」
「え、あ、そうですね。仕事も一区切りつきましたし。
給湯室、自由に使っていいそうなので入れていきましょう」


意外な提案をされて驚いた後、むしろそれは下っ端の私が気づくべきだったのに、と反省する。
いつも無言で、気遣いなんてしてなさそうな吉田さんに指摘されるなんて不覚だ……。


「すみません……私が気づくべきなのに」


失礼な事を思いながらそう謝ると、コーヒーのカップを出しながら吉田さんが答える。


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