青色キャンバス



「あ!!」


それは外に出てすぐの事だった。


「先輩、何ふざけてんの?」


私の手元、裏返った傘を見て秋君は呆れる。



ふざけてるわけじゃないんだけどな…
普通に、ごく普通に傘を開いた。
……はずだった。



「どうしてこんなことに……」


雨という時点で憂鬱なのに、これ以上私を憂鬱にさせてどうしたいのこの雨は。




「はぁ……」



ため息が出る、ため息しか出ない。


仕方ないなぁ……
ブレザーを頭から被って戦闘体制に入る。


「よし!」


と、意気込んだ私の腕を秋君が掴んだ。



「先輩、あんた何してんの?」

「へ?帰ろうと……」



秋君の呆れ顔が私を見下ろす。


あはは……
もう笑うしかないよね。



「この雨の中そんな薄っぺらいブレザーで帰ったら風邪ひくでしょうが。馬鹿なの?先輩。あぁ、馬鹿か……」



き、傷つく!!
そんなあからさまに呆れた顔をしなくても!!



「うぅっ…………」


何も言えません……
どうせ馬鹿ですよ!!



「はぁ、入れば?」

「そんなに呆れなくてもいいのに……」



つい愚痴が出る。


「呆れるに決まってんでしょ。傘壊れたら普通一緒に入れてもらおうとか思わない?」

「あ………」



その手もあったんだ。
今更気づくなんて私、相当の馬鹿だ。


って、やっぱり馬鹿だ私…


再び落ち込む私に秋君はため息をつく。



「頼ったり、甘えたりしてこなかったんだね、先輩」

「え……?」



急に秋君の声が悲しみを帯びた。



秋君………?














< 129 / 214 >

この作品をシェア

pagetop