青色キャンバス
「先輩、…ふぅ」
「わっ!!」
突然耳に息を吹き掛けられた。
「あ、秋君!!?」
「今日の一日俺にくれない?昨日のお礼したい」
「お礼しなきゃいけないのは私だよ。沢山迷惑かけたし、お礼なんて…」
むしろ私がお礼をしたいくらいだよ。
「なら俺とデートして。それがお礼」
「へ?そんなので良いの?」
「そんなのって俺傷つくんだけど。いたって本気で大まじめのデートね」
大まじめって……
秋君の事だから女友達と遊ぶ程度なんだろうな…
「じゃあ準備しなきゃね」
「うん、じゃあ俺帰るね」
「え??」
これから行くんじゃなかったの!?
「デートなんだから、俺支度してくる。先輩もお洒落してきてね。約束は12時に駅集合」
秋君はひらひらと手を振りそのまま家を出て行った。
呆然とその姿を見送る。
―ガチャンッ
「は!!!」
扉の閉まる音で我に返ると、私は慌てて支度を開始した。