青色キャンバス


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「…わぁ………」


私と秋君は地元の駅から3駅ほど進んだ場所にあるショッピングモールへ来ている。


溢れかえる人の波、家族連れや友達、恋人達…
沢山の人がいる。


こういう所へ来たのは本当に久しぶりだ。


一人になってからあまり出歩かなくなったし…


「先輩、大丈夫?」

「え?あ、うん。大丈夫だよ」


ぼーっとしていた私を秋君は心配そうに振り返った。


「人、多くて酔った?」

「ううん、酔ってない。ありがとう」


酔ったわけじゃない。
ただ久しぶりだったから、少し戸惑ってるのかも…


「ならいいけど。先輩、行きたい所は?」

「うーん……」


私は歩きながらパンフレットを見つめた。


せっかくだから新しい画材が欲しいな。


あ、でも……
秋君いわくデート…なわけだし。画材はどこでも買える…わけだし…

そもそもデートも本当のデートとかじゃないわけで…


パンフレットを見ながら唸っていると、秋君が小さく笑った。


「秋君?」


何で笑ってるんだろう。
私、何か変だった??


「先輩、何パンフレットとにらめっこしてるの?行きたい所あるんでしょ?なら行こうよ」

「え!!」


何でわかったの!!


「ね、どこ行きたいの?」

「あ、が、画材屋さんに…」



そう言うと秋君は何故か不敵に笑った。


………??


「だと思った。着いたよ?」


秋君が私の手を繋いだまま立ち止まる。


「え!?」


するとちょうど画材屋さんの前だった。








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