もうひとつの恋
仕方なく俺は、小嶋さんを紹介してもらった時の話を母に伝える。


しばらく考えていたけれど、ようやく思い出したのか、母はクスクス笑いながら言った。


「あぁ、あれね?

この子がそういう趣味だと思ってたから、そう言えば食いつくかなって思っただけなのよ

だいたい、その時にいるならいるってあんたが言わないから、ややこしくなるんじゃないの!」


――うわっ!


矛先がこっちにきた。


「だからね?美咲さん

そんなことは気にしなくていいのよ?

私が望む純の相手は、この子を愛してくれてることなんだから

だから美咲さんは願ってもない相手なの

うちの嫁に来てくれるなんて本当に嬉しいわ」


母の言葉がすごく嬉しくて、俺は言葉を詰まらせた。


それは美咲さんも同じだったようで、黙ったまま俯いている。


よく見ると、ポタポタと膝に置いた手の甲に涙が落ちている。


これでやっと美咲さんの年齢差の呪縛が解けたかなと俺は思った。


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