朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
由良は目を瞑り、両手を組んで顔を上げた。


今この場で首を刎ねてくださいという意思表示だった。


由良の本気を汲み取った暁は、冷静に言葉を選んで投げかけた。


「分かってくれたのならいいのだ。

今回のことは、柚を想ってしたことが十分伝わってきた。

お主が柚のために一生懸命働いていることは分かっておる。

それに、柚はこの世界に来て日が浅く、心を許せる友がお主しかおらぬのだ。

柚のために命を使うと決めたのなら、柚に貰ったその命、柚のために大事に使ってくれぬか?」


 由良はあまりにも寛大な暁の言葉に驚いた。涙がとめどなく溢れてくる。


「ありがとうございます」


 由良は泣きながら頭を下げ、何度も感謝の言葉を口にした。


罪を許してもらったことに感動したのではなかった。


由良は、命を持って償いたかった。


しかし、暁が柚を想う気持ちに心を打たれた。


柚のことを考えるなら、自分が死ぬのは得策ではない。


独りよがりだったと気付かされた。


思いやり深い暁に、由良は柚だけではなく、暁のためにもこの命を使おうと心に決めた。
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