朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
柚は側仕えを呼ぶために鈴を鳴らした。


するとすぐに側仕えが三人、柚の部屋に入ってきた。


皆、柚より若く12,3歳くらいの少女だ。


親元を離れ奉公しに平城宮に住み込みで働きに来ているのだが、動きは機敏で礼儀も備わっている。


仕草や顔付きからして育ちの良さがうかがえる。


 あの一件から由良は、柚と距離を置くようになった。


だが、柚の側から離れたわけではない。


正妻となり立場がぐんと上がり、住まいも広くなった分、側仕えの数も増えたので、それらを統括する役にまわった。


側仕えをする少女の教育から、掃除や調理までありとあらゆることを指示しているのである。


柚がいかに快適に過ごせるかを常に考え、余計なことには口出ししないようにしている。


そして由良の細部に渡る気遣いは、柚の性格を熟知した素晴らしいものだった。


「今から湯浴みってできるかな?」


 柚は少女たちに遠慮がちに聞いた。


柚がしたいと言えば、例えできないことであってもできるように手配するのが少女たちの仕事である。


尋ねる必要などないのだが、柚はいまだに謙虚さを崩せないでいた。
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