朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「はい、すぐにご用意致します」


 そう言って少女たちは小鹿のような速さで部屋を去り、そしてすぐに戻ってきた。


柚を湯浴みの場所まで連れて行くと、檜で作られた湯船にはお湯がたっぷりと溜めてあり、香油や衣も全て用意されていた。


「お手伝いしても宜しいでしょうか」


「いや、いい。自分でできる」


「かしこまりました。それでは何かありましたらすぐにこの鈴でお呼びくださいませ」


「うん、ありがとう」


 少女たちは一礼して、またすぐにいなくなった。


押し付けがましいところがないのが、とても心地良かった。


もちろん、それは由良が彼女たちをしっかり教育しているからである。


そんなところが垣間見れるから、由良と会っていなくても寂しくはなかった。


逆に、由良はとても近くにいるような気さえする。


 湯浴みを終え、部屋に戻ると、とても綺麗に掃除されていた。


床や置き物もすべて水拭きされキラキラと光っている。


それに湯気のたった食事が用意されていた。


柚はお腹がぺこぺこだったので、何よりも先に食事に手を伸ばした。


おひつには、ほかほかのご飯がたんまりと入っていた。


それを山盛りに盛り付け、がっついて食べた。


十種類ものおかずがあったにも関わらず、柚はそれをペロリと平らげた。


汗を流し、お腹も満腹になると、ようやく柚は心から落ち着くことができた。
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