朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
するとその時、真っ暗だった空が突然光り出した。


「何事だ!?」


 柚の身体に顔を埋めていた暁が、がばっと起き上がり外に目をやった。


柚もハッと我に返り、同じく外に目をやる。


すると、光はどんどん膨れ上がり、まるで昼間のような明るさが部屋を包み込んだ。


「この光り……」


 柚には思い当るふしがあった。


不安げに暁を見ると、暁も同じことを思い出していたらしく、鋭い目付きになっていた。


 柚と暁は服を着て庭に出ると、空には真紅色に輝く大きな鳥、朱雀がいた。


平城宮にいる人々もこの異変に気づき外に出て、威風堂々と羽を広げる朱雀を見上げている。


「どうして……」


 柚は両手で口を覆い、驚きを隠せないようだった。


それもそのはず、朱雀は柚に命を与え、その代わりに自らの命を落としたのである。


朱雀は不死身なのでまた生まれ変わるが、数年は元の姿に戻れないと言っていた。


 柚と暁に気付いた朱雀は、空から二人を見下ろし不敵な笑みを浮かべた。
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