朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「誰が貧乳だ! 久しぶりに会ったのに、その挨拶はないだろ!」


 柚が食いかかると、朱雀はおかしそうに喉をくっくっと鳴らして笑った。


「相変わらず元気そうだな」


「元気っちゃ元気だけど……。私はな! お前に会ったら言ってやりたいことが山ほどあったんだ!」


「ほお、なんだ?」


「勝手にこんな世界に飛ばしやがって。ここは一体どこなんだよ!」


「朱凰国の都、平城京だろ。お前まだそんなことも知らなかったのか? 馬鹿だな」


「それは知ってる! 朱凰国ってなんなんだ? ここは日本じゃないのか!?」


「日本だともいえるし、日本ではないともいえる。

お前たちは世界は一つしかないと思っているようだが、世界は同時並行して数多に存在している。

過去や未来を変えると、新しい現実世界が誕生する。

何度も過去や未来を変えれば、それだけ多くの新しい世界が誕生する。

俺様は時空を越えることができるから、その分、数多に分岐する世界を自由に行き来することができるのだ。

世界には沢山の過去や未来がある。

お前が生きていた世界は、その膨大な世界の中のたった一つにすぎない。

俺様は、お前を必要とする世界にお前を飛ばした。

ここはお前の世界から見れば過去であるが、厳密には過去ではない。

お前にとっては、全く新しい現実世界だ。

分かるか?」
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