朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「……分かるような、分からないような」


「救いようのない馬鹿だな。俺様がこんなに丁寧に説明してやってるのに」


「うるさいっ! そうだ、問題は、ここがどこかじゃない。私が元の世界に帰れるかどうかだ!」


「帰れるぞ」


 柚が息巻いて言うと、朱雀はあっさりと大事なことを口にした。


「か、帰れる?」


 余りにもあっさり言うので、柚はオウム返しで聞き返した。


「帰りたいと思ったら、今すぐにでも帰れるぞ」


「本当か!? どうやって!?」


「お前の世界は、お前がいなくなったことにより新しい世界を作っている。

お前がそもそも初めから存在していなかった世界だ。

しかし、お前がこの世界からいなくなり元の世界に帰れば、お前が存在していた世界へと瞬く間に戻ることができる」


「だから、どうやったら帰ることができるんだよ!」


「死ねばいい」
< 89 / 342 >

この作品をシェア

pagetop