エンドレス・ツール
「俺……見ちゃったんだ。あの人が……」


高橋くんが急に神妙な顔つきになり、声を潜める。


「見ちゃった……?」


まるで翔さんを幽霊に例えたような言い方だ。


失礼だな。


「見ちゃったんだよ。あの人が……」

「何よ」


あたしに顔を近づけ、ごくりと喉を鳴らす。高橋くんの顔が迫り、視界が暗くなる。


「あの人が……」

「さっさと言いなさいよ」

「う……」

「う?」

「あの人が、浮気を……」

「してねーよ」


別の声がしたと思ったら、急に視界が明るくなる。


「あ……しょーちゃん」


後ろを見上げた高橋くんが苦笑しながらわははと声をあげた。


「……しょーちゃん?」

「お前、今りーにキスしようとしたでしょ」

「あは、ばれた?」

「ばればれ。りーに変なこと吹き込むなよ」


高橋くんの肩を掴んでいるのは翔さんだった。


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