恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「おはよう。

いつも通りの髪色を見ると、昨日も忙しかったみたいだね」


朝一番。

校門の前で爽やかな微笑みと一緒に向けられる言葉に、口を尖らせる。


「……」

「どうかした?」


むすっとしたまま俯くと、相沢先輩が聞く。


イヤミを返すからいちいちイライラするんだ、きっと。

無視してやりすごせば、相沢先輩だってやりがいがないって引いてくれるかもしれないし。


「……」

「……」


ほら、やっぱり!

チラっと見上げると、そこには予想通り大人しくなった相沢先輩。


心の中で『よし』なんて機嫌よく頷く。


今日こそ勝った!って思うと、自然と口の端がつりあがりそうだったのに。








< 22 / 364 >

この作品をシェア

pagetop