恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「おはよう。
いつも通りの髪色を見ると、昨日も忙しかったみたいだね」
朝一番。
校門の前で爽やかな微笑みと一緒に向けられる言葉に、口を尖らせる。
「……」
「どうかした?」
むすっとしたまま俯くと、相沢先輩が聞く。
イヤミを返すからいちいちイライラするんだ、きっと。
無視してやりすごせば、相沢先輩だってやりがいがないって引いてくれるかもしれないし。
「……」
「……」
ほら、やっぱり!
チラっと見上げると、そこには予想通り大人しくなった相沢先輩。
心の中で『よし』なんて機嫌よく頷く。
今日こそ勝った!って思うと、自然と口の端がつりあがりそうだったのに。