重なる身体と歪んだ恋情
「千紗さん、入りましょう」
その声に振り返る。
にこやかに微笑む私の夫。
返事をしたいのだけど問題がひとつ。
「あの……」
風に吹かれたら消えてしまいそうな私の声に「はい」と彼は答えてくれる。
もしかしたらお祖母様が言うように優しくていい人なのかしれない。なんて希望を持ちたくなるような笑顔。
「なんとお呼びすれば良いですか?」
私はまだ、彼を一度も呼んでいない。
だって、なんと呼べばいいか分からないし、何より彼と話すこともなかったから。
けれどこれからは話すことも必要、なはず。
だから聞いたのに、
「あなたのお好きに」
にこりの笑顔で返された台詞は予想通り。
「奏様、でよろしいですか?」
それとも「旦那様」と呼ぶべきなのかしら?
思案する私の前で彼は少し面白くなさそうな顔を見せた。
「あなたは私の使用人ですか?」
その声に振り返る。
にこやかに微笑む私の夫。
返事をしたいのだけど問題がひとつ。
「あの……」
風に吹かれたら消えてしまいそうな私の声に「はい」と彼は答えてくれる。
もしかしたらお祖母様が言うように優しくていい人なのかしれない。なんて希望を持ちたくなるような笑顔。
「なんとお呼びすれば良いですか?」
私はまだ、彼を一度も呼んでいない。
だって、なんと呼べばいいか分からないし、何より彼と話すこともなかったから。
けれどこれからは話すことも必要、なはず。
だから聞いたのに、
「あなたのお好きに」
にこりの笑顔で返された台詞は予想通り。
「奏様、でよろしいですか?」
それとも「旦那様」と呼ぶべきなのかしら?
思案する私の前で彼は少し面白くなさそうな顔を見せた。
「あなたは私の使用人ですか?」