重なる身体と歪んだ恋情

違う。

けれど、お金で縛られているのは変わらないと思うの。

あぁ、世間体の問題かしら?


「でしたら、なんと?」


そう聞く私に彼はため息を。

……これが彼の本性ね。

顔は笑っているけれど、目が笑ってない。見下すような瞳が私に向けられる。


「奏、でいいですよ。夫婦なのですから」


夫婦なんて言葉が嫌に軽いものに感じられる。

昨日まで知らなかったもの同士が、いきなり会って式を挙げたからって夫婦になれるものかしら?

それに、


「あなたは年上ですもの。呼び捨てにはできません。勿論、あなたは私を呼び捨てで構いませんけど」


買った商品にさん付けなんて馬鹿馬鹿しいでしょう?

そんな嫌みを込めて言ったつもりだったけれど、彼はフッと一笑するだけ。


「夫婦に年上も年下もないでしょう。分かりました。呼び捨てが無理ならさん付けで構いません。私も貴方のことをこれまで通り千紗さんと呼びますから」


これ以上の会話は無駄だわ。だから、


「分かりました、奏さん」


そう口にすると、


「では、お部屋に案内させますよ。千紗さん」


と返ってきた。

なんてぎこちなく不自然な会話。

こんな日々がこれから毎日続くのだと思うと急に息苦しく感じた。



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