重なる身体と歪んだ恋情
これまた気が重いが仕方ない。

立ち上がって電話を手にして、


「八重、どうかしましたか?」


そう聞く私の耳に、「確認」と短くも艶っぽい声が返って来た。


「なんのですか?」

「来てくれないの?」


あぁ。

すっかり忘れてた。


「勿論行きますよ」


面倒だな。


「よかった。美味しいお酒も待ってるから」


八重は機嫌よくそう答えると電話を切った。

綺麗に忘れてたな、八重の存在。

もうすっかり切るつもりだったから。

それでも千紗のドレスは作ってもらわない月末の晩餐会に間に合わないし、

かといって二日も家をあければ如月の嫌味が飛んできそうだ。

千紗は、何も言わないだろう。

寧ろいないほうが安心と言ったところだろう。

仕方ない。

適当にあしらって帰るか。
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