重なる身体と歪んだ恋情
海外とのやり取りはすべて英語だから目を通すだけでも疲れがどっとくる。
けれど必要な書類にはずべて目を通したしサインもした。
後は緑川や他の人間に任せても大丈夫だろう。
ペンを立てて革張りの椅子に背中を預けて大きく息を吐いた。
窓の外を見ればもう闇が支配する。
ぽっかりと浮かんだつきは眩しいくらいで目を細めた。
まだ、ワインを輸入してる店は開いてるだろうか?
こんなことなら誰かに買いに行かせればよかった。
そんなことを考えながら思わず目を閉じようとすると、
「社長、車を回しました」
規則正しいノック音に律儀な緑川の声が。
あのまま眠れたら幸せだったろうな。
なんて、誰かに当たっても仕方ない。
「ありがとう。すぐに降りる」
だからそう言って椅子から立ち上がりもう一度眩しい月を見上げた。