重なる身体と歪んだ恋情
そしてまた車は走り始める。

横浜の町は嫌いじゃない。

全てが新しく新鮮だから。

窓から海が見えて少しだけ潮の香りが鼻を掠めた。

そこで如月は停車させた。


「こちらです、千紗様」


見れば新しくもない店の前で。

これなら八重さんのお店のほうが綺麗と思えるほど。

老舗と言えば老舗、なのかしら?


「いらっしゃいませ、桐生さん」


お店に入るなり声をかけてきたのは金髪の女性。

歳は多分30代くらい、その後ろには白髪で年配の女性も居てどちらも外国の方だと分る風貌。


「それでは彼女に何枚かドレスをお願いします」


そう言うと若い方の女性は英語で年配の女性に伝えていた。

きっと年配の方は日本語が出来ないのだと思う。


「ではこちらへ。マズは採寸しますから」


よく見れば似た顔立ち。

親子かしら?

そんなことを思いながら、


「お願いします」


と彼女が促すほうへ足を進めた。
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