重なる身体と歪んだ恋情
次の日には晴れてしまって私は如月の運転する車に揺られて横浜に。

しかも、


「すみません。私の予定につき合わせてしまって」

「いえ……」


隣には奏さん、そして助手席には緑川も。

桐生家には車は1台しかない。

私は鉄道で横浜まで行っても全然いいのだけど如月がそれはダメって。

そして今日は奏さんのお仕事が横浜であるらしくてこんなことになってる。


「あぁ、今日は八重さんのところではなく昔からある老舗のお店で作られては?」

「え?」

「開国以来こちらにドレスのお店を構えてるところがあるんです。何でも生地もレースもすべてあちらから持ちこんでるとか。如月、場所は分りますね?」


奏さんの声に「はい」と如月が答える。


「きっと素敵なドレスが出来上がりますよ。さすがに今週末の晩餐会には間に合いませんが」

「今週、末?」


思わず聞き返す私に奏さんはニコリと笑う。


「暖かくなるとこういった催しが増えてしまって。すみません」

「……いえ」


雨が降ればいい。

なんて。


「行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」


先に車を降りる奏さんを見送って、私は大きくため息を付いた。
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