重なる身体と歪んだ恋情
ここにある服は八重さんのものとは違って典型的なものばかり。

目を引くようなデザインは無いけれど、洗練されたドレスは美しい。

コルセットが必要なのはちょっと残念だけど。



「まだお若いですし可愛いベビーピンクなんてどうですか? レースはふんだんにあしらって」

「あ、はい」

「あとは夏にあわせてエメラルドやサファイアのようなドレスも」

「お任せします、ミス……」


お店の名前はなんだったかしら?

そもそも書いてあった?

名前も呼べず固まる私に、


「エルでいいわ。こっちは私の母でサラ」


二人して暖かい笑みを見せてくれた。


「それでは1ヵ月後、連絡しますので」


そういわれて店を後にした。


朝早く出てきたせいか、お昼までもまだ時間がある。

だけどもう用事は無いし、もしかしたらこのまま帰る、とか?

少し残念な気分で隣を見上げると、


「行きたいところがあればどこなりと」


如月はフッと笑ってくれた。

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