重なる身体と歪んだ恋情
「庭も見られますか?」
「……中庭以外、まだ見せたいものがあるの?」
いい加減本音が出てしまって口元を押さえたけれどため息も出た後で。
「お疲れでしたらまた今度。お部屋でおくつろぎになりますか?」
その意見にしたがって私は用意された部屋のドアをくぐった。
ベッド以外何も無い空っぽの部屋。
まるで私自身ね。
「なにか必要なものがありましたら何なりと。私は下に居ますが小雪がそばに控えておりますので」
って、小雪はずっと部屋の外で立ってるってこと?
そんなの、
「必要ないわ」
「はい?」
「欲しいものなんて何も無いし、用事も無いから小雪も下にいて構わないから」
きっぱりとそう言うと如月は少し後ろにいる小雪を見て、また私に向く。そして、
「畏まりました。それでは何かありましたら誰でも構いませんのでお声をおかけください」
「……えぇ、ありがとう」
私の声に二人とも頭を下げて部屋から出て行く。
バタンと閉まると急にダルさを感じて、私はベッドに倒れこんだ。