重なる身体と歪んだ恋情
朝食を取り少し時間を置いて、


「千紗様、よろしいですか?」


その声に「はい」と答えて鏡台の前から立ち上がる。

今日は着物にした。

お祖母様が作ってくださった大島の紬。

部屋から出て玄関に。

奏さんは私の姿を見て何か言いたそうにしていたけれど、


「どうぞ」


車のドアを開け私の手を差し伸べてくれた。

その手を取って車の中に。

病院には歩いてだって行けるのだけど、


「お見舞いにはお花が必要でしょう?」


車は遠回りしてお花屋さんの前で止まった。


「お祖母様のお好きな花をご存知ですか?」


その質問に、


「椿と桜が好きです」


と答えると彼は苦笑いして、


「似たようなのを探してみます」


と車を降りた。

意地が悪い。

自分でそう思ったが、祖母のこと。どんな花であっても彼がお見舞いと称して持って来てくれるのだからそのあたりの野の花をつんで持っていった所で大喜びしてくれるだろう。
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