重なる身体と歪んだ恋情
そして私のそんな予想通り、


「まぁ! 桐生様にまでお見舞いだなんて!! 本当に勿体無い」


ベッドの上で両手を付いてお辞儀をするお祖母様。


「お祖母様、そんなことをなさらないで。身体に障りますよ」


奏さんは優しい声をかけて彼女の体を起こしてさしあげる。


「如月を見に行かせて本当によかった。お義兄さんの様子もおかしかったので気になっていたのです」

「そうですか。本当にお恥ずかしい……」

「貴女が気に病むことはありません。しっかりとここで静養なさってください」


なんて優しい言葉に振る舞いなんだろう。

病院の手続きで奏さんと如月が席を外すと、


「本当にあんなお優しい旦那様で千紗さんは幸せね」


お祖母様は私に言う。

だから私も「そうね、私は幸せ者だわ」と嘘を重ねた。

気を利かせたのかなかなか帰ってこない二人。

その間もお祖母様は、


「如月さんが家にいらしたときは本当に神の使いかと思ったわ。桐生様は私のことまでずっと気にかけてくださって。本当に有難い。この病室もね……」


奏さんと如月の事を絶賛なさって。


「でも、優しいだけの人間なんていないわ」


思わずそう言ってしまった。

右手を口を押さえたってもう遅い。

そっとお祖母様を見れば驚いてらして。


「ご、ごめんなさい。別に奏さんがどうと言うわけでは――」


繕うような私の言葉にお祖母様は、


「喧嘩でもしたの? 仕方の無い子ね」


そう言ってふふっと笑った。
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