重なる身体と歪んだ恋情
一人、部屋に戻ってベッドに腰を下ろす。

すると揺れる私のドレス。

思い出したのは先生とのダンスで。


『そのまま掴まって!』


ふわりと浮かぶ私の身体、そしてひろがる私のドレス。


『いいよ、そのままで。ちゃんと掴まっておいで』


彼の姿と重ねてしまう。

もしかしてあれは先生だったの?

そのまま枕に顔を埋めて思い出す。


ワルツを最初に教えてくださったのは父様だった。

父様の足の上に自分の足を置いて、私はただ父様を一緒に揺れるだけ。

それでも楽しくて仕方なかった。

そしておねだりして連れて行ってもらった舞踏会。

10歳の頃だったと思う。

兄様は一心不乱に食べ物に夢中で、父様が私と踊ってくださったのは1曲だけ。あとは母様と一緒で。

その素敵なダンスに嫉妬とも言える感情を抱いたのを覚えている。

だから拗ねるように会場の隅に行って、彼を見つけた。

私と同じように、隅で小さくなってため息だって漏らしてる彼。

かなり年上だったと思う。

だけど私は生意気にも彼に話しかけた。


「ため息は幸せを逃がしちゃうの。知らないの?」


って。その後も父様からの受け売りをずっと話してた気がする。

それを彼はずっと聞いていて、やっと笑ってくれた。
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