重なる身体と歪んだ恋情
奏さんはしばらく入院。

そして私は、


「落ち着く場所が決まるまでですがこちらで生活することになります」


ホテルに居た。


「お世話は私が。通いになりますがひとりでは決して外に出られないように」

「……」

「約束できなければ憲兵でも何でも部屋の前に立たせます」

「分かりました」


素直(?)にそう答えると如月はフッと笑って。


「他の使用人たちにはお暇を与えています。ご心配なさらずに。そして私がこれないときは郁を呼びますので」

「えぇ、お願い」

「それと、大野氏との面会が許されました」

「え?」

「先代社長の知り合いが警察の上層部にいるので。特別です」

「……ありがとう」


心からそう言うと如月は「いえ、当然のことをまでです」とお辞儀した。

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