重なる身体と歪んだ恋情

初めての舞踏会。

私は完全に蚊帳の外だった。

社交的な父に比べ私は彼からその才能を受け継がなかったらしい。

壁にすがってため息を付いてばかり居ると、


「ため息は幸せを逃がしちゃうの。知らないの?」


女の子に指摘されてしまった。

そして、


「ほら、笑って! 作り笑いでも……」


今の私を作り上げたのはあの時の彼女だ。

あの時のことは今でも鮮明に覚えてる。

彼女とワルツを踊ったことで会場から喝采を浴びた。


「なかなか可愛らしいお二人ですこと」

「桜井のご令嬢とお知り合いで?」

「ところで君の名前は?」


一通り挨拶をすませた後彼女を探したがもう帰った後で。

その後、彼女と社交界で会うことは無かった。
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