重なる身体と歪んだ恋情

「あれは、お宅なのでは?」

「え?」


タクシーの運転手の声で現実に呼び戻される。

私が目にしたのは炎に包まれた屋敷で。


「降ろしてくれ!」


車から下りて人だかりを掻き分ける。


「なんだ、これは!」


大きなくすのきの下に集る使用人たちを見つけてそういえば、


「千紗様がっ」


小雪が泣きじゃくっていた。あたりを見回せば千紗と司の姿がなくて――。


「奏様っ! これは一体!?」


後ろから私と同じように息を切らせ走ってくる司。

なら、千紗は……?


「千紗様が、まだ――」


そう告げる小雪の声に背筋が凍った。


「あの中に……?」


司の声に小雪は「すみませんっすみませんっ!」と何度も謝った。

炎の渦巻く音が聞こえる。


「千紗……」


屋敷に向かおうとした私の手を司が掴んだ。
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