重なる身体と歪んだ恋情
その後、司は千紗を連れて来てくれた。
彼女の顔に張られたガーゼ。傷になったのだろうか?
彼女も私を気にしてくれているのか視線は包帯とガーゼに向けられて。
「私は大丈夫ですよ、如月が入院しろとうるさいからここにいるだけで」
そんな会話に彼女は少しだけ笑ってくれた。
空気が軽い。
なぜだかそんな気がした。
その空気に割って入ったのは憲兵で。
「犯人が捕まりました」
昨日の火事は付け火だとはっきりと口にした。
その犯人は大野芳史で……。
彼女の視線が私に注がれているのが分かったが、
「さあ、彼の会社と取引はありませんので」
適当に答えておいた。
話に寄れば会社は倒産寸前まで追い込まれたらしい。
そこまでやったつもりは無いのだが、きっかけを与えたのは私に間違いない。
「資本主義の国では良くあることです。良くあることですが、その度に家に火をつけられてはたまったものではない」
きっと、また彼女に嫌われたな。
そんな自覚は十分にあった。