重なる身体と歪んだ恋情
「ここがお祖父様の書斎です。祖父がなくなった後は父が使ってて、その後は私がたまに本を読むくらいで……」
通されてた部屋はさほど大きくは無い。
だが窓とドア以外の壁は本棚で埋め尽くされ、その本棚に入りきらない本は窓際に置かれた机の上に山積みにされて。
弥生が見たら眉をつりあげて整理しているところだな。
「えっと、『或る女』ですよね……」
この中から1冊の本を探すのは大変そうだ。
そう思いながら本棚に並べられた本をざっと眺めた。
基本、歴史書が多い。
それから思想学に和歌集。
私とは気が合いそうもないな。
そんなことを思いながら本の背表紙を目で追いかけて。
「これ――」
ひとつだけ、毛色の違う本を見つけた。
題名は、
『或る女』。