重なる身体と歪んだ恋情
周りは分厚い歴史書ばかりなのにこれだけが異色で。

それに手を伸ばし本棚から抜き去る。

長いこと掃除もされていないのか誇りにまみれて……。

だから、少しだけ息を吹きかけて誇りを払い、それからページを捲った。


「どう、ですか?」


遠慮がちな千紗の声を聞きながらパラパラと捲る。

けれどその中には何も挟まれてはいないし、どのページにも落書きすらなく綺麗な状態で。

考えすぎだったのか?

そう思いながら、


「特には何も――」


その本を千紗に手渡そうとして、


「奏さん?」


気が付いた。

本ではなくて本棚に。

『或る女』があった隣の本も取り出して床の上に。

その隣も本棚から取り出して。


「奏様!?」

「司、なにか細いものを!」


司に本棚を見せてそう言った。


「一体何が?」


千紗の不思議そうな声、けれど司は理解したのか、


「すぐに探してみます」


そう言って机の引き出しを開けて。けれど何も使えそうなものはなかったのか、部屋を出て使えそうなものを探しに行った。
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