重なる身体と歪んだ恋情
「奏様、これでどうですか?」
司が持ってきたのは竹の物差しと細い刺身包丁。
包丁の鈍いひかりに千紗の息を呑む声が聞こえて。
思わずフッと声を漏らしてしまった。
「それでいいですよ。包丁を隙間に差し込んで」
私の声に司は頷き棚の隙間に包丁を刃を突き立てる。
「――っ」
その音に身体を強張らせる千紗。
私は出来た小さな隙間に物差しを差し込んでてこの原理で隙間を広げて――。
バキッ
木の割れる音に千紗が「ひっ」と小さな悲鳴を。
そして、
「……これか」
割れた板の隙間から丁寧に和紙に包まれた何かが出てきた。
丁寧にまだ残る木片を避けて和紙に包まれた何かを手にした。
それは、
「権利、書?」
千紗の声に頷く。そう、桜井の所有する土地の権利書とそして国債券がそこにはあった。