重なる身体と歪んだ恋情
「こんなところにいらしたのですね」



そんな声に顔をあげると千紗がいた。



「お祖母さまを一人にして大丈夫ですか?」



そういうと千紗は小さく笑って、



「お祖母さまに『あんな大怪我を負ってる旦那様を一人追い出すなんて』と、怒られたところです」



私の隣にふわりと座った。

風が吹く。

夏の風だがそれでも爽やかで涼しげな風に彼女の髪が揺れて、私の肩にそっと触れた。

彼女からこんなに近づいてくれたのは初めてかもしれない。

そしてこんな穏やかな表情で隣にいてくれるのも……。

だから、なのかもしれない。



「怒って、らっしゃらないのですか?」



まるで咎められた子供のような台詞を口にしてしまうのは。



「え?」



そう言って私を見る千紗。

頬の傷が生々しくて、私の罪悪感ばかりを煽り立てる。



「……大野さんの事です。結局、ここまでなってしまったのは私のせいだと、咎めないのですか?」



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