重なる身体と歪んだ恋情
「お帰りなさいませ」


そんな弥生の声に奏さんのお帰りを知る。

足の怪我はかなり良くなっているようでもう引きずるようなこともない。

それとともに、彼の帰りは遅くなっていた。


「お帰りなさいませ、遅かったですね」

「今まで緑川や他のものに任せっきりでしたから。それに今日は家のことも話しましたし」

「家?」


聞き返す私に奏さんはにこりと笑って見せた。


「いつまでもここにいるわけにもいきませんし、桐生の家をあのままにしておくわけにもいきませんから」


あの火事から2ヶ月が過ぎた。

家は焼け焦げてはいるが、庭は綺麗に以前の美観を保っていた。


「これです」



元は座卓しかなかったこの部屋だが、私たちがここに住むに当たりカーペットにテーブルと椅子が持ち込まれている。

大きなテーブルだが、そこにそう言って彼が大きな紙を広げた。


「新しい桐生家の設計図です」

「……」


初めて見る設計図と言うものに私の頭はついてこない。


「分かりますか? ここが玄関、そして居間、こちらは厨房にこれが階段、そしてこちらの図が2階になります」


そう説明されて、なんとなく頭に浮かんできた。


「何か希望は? まだ設計段階ですからいくらでも変更できますよ」

「……いえ、別に私は」


2階の部屋は客間と書斎、そして寝室が2つあった。
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