重なる身体と歪んだ恋情
「子、供……?」
ゆっくりと彼の唇が言葉を紡ぐ。
彼の欲しかった公家の血を継いだ子供。
だけど、これだけは譲れない。
「お願いっ、この子だけは取り上げないでっ! この子がいなくなったら、私、一人に――」
いずれ、お祖母様も私を置いていくだろう。
そうなれば私はたった一人になる。
でも、この子がいてくれたら。
奏さんの子供がいてくれたら――。
「落ち着いて、千紗!」
「一人にしないでっ」
「しないからっ!!」
彼から離れようとした瞬間、私は彼に抱きしめられていた。
「千紗を一人になんてしない」
「……」
「私がそばにいますよ」
「……嘘」
「本当です」
「だって……、奏さんは私なんて」
「愛してます」
嘘だ。
愛してなんかいない。
「……子供が、欲しいから?」
「産んで、くれるんですか?」
抱きしめる腕をそっと緩めて、奏さんが私を見つめた。
「……産みたい」
そう答えると、奏さんはすごく優しい顔で微笑んでくれた。
「今、私がどれだけ嬉しいか、わかりますか?」
「嬉しい……?」
聞き返す私に彼はコクリと頷いた。
「ずっと、貴女には嫌われていると思ってましたから」
「そんな……、奏さんだって――」
私のことなんて愛してなかったのに。
「私はずっと、貴女を愛していましたよ。舞踏会で一緒に踊った日から」
「え?」
意味が分からず声をあげる私に奏さんはフッと笑った。