重なる身体と歪んだ恋情
店主の態度はとても上品とは思えないけれど。
「こちらの鏡台なんていかがでしょう? イタリー製でして木材も最高級のものを――」
そこに置かれた家具はどれもステキなものばかりで、
「こういった姿見はどうですか? 鏡台と同じ材質ですし色も同じ。一緒に置かれるとよろしいかと」
「……そうね」
すべて外国のものばかり。
日本の箪笥なんかとは違って、しなやかな曲線に素晴らしい彫刻が施されて。
「それではこちらでよろしいですか?」
「えっ?」
はたと我に返る私の隣で「ではそちらを」と答えたのは如月。
「ま、待って!」
だって金額も知らされて無いのに。
「お気に召しませんか?」
「そうではなくて……」
目の前にはニコニコ不気味な笑みを浮かべた店主がいて。
だから私はつま先で立って如月に耳打ちを。
「一体いくらなの? そんなに高価なものは」
どう考えてった目の前にあるこの家具は高価に違いない。
そんなものを買っていただく理由も無いし、
何より身分不相応。
だからそう言ったのに、
「奏様から千紗様の気にいったものを買うように仰せつかっています。そのような雑多なことは気になさいませんよう」
「……」
もしかして私が思っているより安いとか?
だから、
「ありがとうございました」
深々と頭を下げる店主に私は「こちらこそ」と言って店を出た。