重なる身体と歪んだ恋情
「こちらのデザインなんていかがでしょう?」
見せられたのは膝丈の短いドレス。
肩から生地が滑るように落ちて胸元を隠して、袖もない。
着物のように胸元でリボンが結ばれて裾はゆらゆらと揺れて。
「とても動きやすいかと」
「で、でもっ」
いくらなんでも短くない?
こんなに足を出して歩くなんて……。
「これからはこういったものが流行る時代なのです。ココ・シャネルをご存知? 日本ではまだ無名ですがこれから彼女のデザインしたようなドレスが流行ることでしょう」
そう説明されても恥ずかしいものは恥ずかしい。
これならいっそ着物のほうが上品で落ちつくというもの。
なのに、
「とてもお似合いになると思いますよ?」
なんて如月にまで言われて。
「……そう、かしら?」
思わずそう言ってしまった。