重なる身体と歪んだ恋情

食事を終えて少し休憩を入れて。


「すこし歩きますので」


そう言って小雪が日傘を差し出した。

レースに縁取られた綺麗な傘。

これもきっと海外からのものなのだろう。


「ありがとう」


もう驚きもしない。

こういうのってどうなのかしら?

考えたところで私はこの環境に順応するしか無いのだけど。

傘を開いて玄関から庭に。


「こちらです」


如月の声に足を進める。

広い庭。

結婚パーティーのとき、私が足を踏み入れたのは中庭だけ。

この家には広い外庭まである。

その隅に不思議な建物を見つけた。


「ここです」

「……ガラス?」

「はい。左様にございます」


それはガラスで囲まれた不思議な空間。


「じき、これは取り払いますが」

「どうして?」

「暑くなりすぎるのです。どうぞ」


言われるまま中に。

そこは、


「暑い……?」


外に比べてとても暑い空間で。


「温室です。寒さに弱い植物や季節はずれの植物を育てるためここがあります」


中は緑で溢れていた。
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