重なる身体と歪んだ恋情
「郁の持ってきたお茶を飲まれますか?」
「えぇ、お願い。楽しみにしてたの」
私の声に頭を下げて部屋から出て行く如月。
だけどこの部屋にはまだ他の使用人が居る。
居るからといって私に声を掛けるでもなく完全に壁の花。
だから息苦しくて仕方ない。
ため息を付こうとして息を吸うと、
「あ」
「お待たせいたしました」
如月がティーポットと共に現れた。
なんともいえない香りを連れて。
「初めての方には少し香りがきついかもしれません」
「そう、ね」
言われてみればその通りで。
まるで漢方薬の香り。
そういえば、ハーブは薬にもなるって郁が言ってたわね。
こういうことなのかしら?
そんなことを思いながらカップに口付ける。
口の中に広がるカモミールの香り。
なんて表現すればいいのかしら?
なんだかちょっとりんごに似てる。
「こちらのカモミールには不眠を助ける効能があるんだとか。他にも落ち着かせたり疲労回復にもいいようです」
「そう。如月は何でもよく知ってるのね」
如月は何でもよく知ってる。
だから心からそう言ったのに、
「ただの知識です。この程度のことは郁でも知っていますから」
軽くそういわれてしまった。