重なる身体と歪んだ恋情

もう季節は春から夏に移行しようとしてる。

温室のガラスも全部外されて。


「なんだかさっぱりしちゃったわね」

「気持ちいいです」


晴れやかな空の下で私と郁は笑った。


「今日は兄さんにレモングラスを渡しておきました」

「それもハーブティーなの?」

「はい。レモン味です」

「……酸っぱいの?」

「お嫌いですか?」

「嫌いってわけじゃ……。でもちょっと苦手かしら」


少し顔をしかめる私に郁はクスクス笑って。


「でしたら砂糖を入れてみては?」

「……」

「外国の方は緑茶に砂糖をいれるらしいですよ?」

「そうなの!?」

「はい」


特別な会話をしてるわけじゃ無いけれど普通って事が嬉しい。


毎日こんな感じでこの生活にも慣れてきて居場所も見つけて。

ずっとこのままなら私は幸せかもしれない。

なんて思っていたのに。
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