重なる身体と歪んだ恋情
「千紗様、お支度が出来ました」
小雪の声に重苦しい息を吐く。そして「はい」と答えて部屋から出た。
恭しく頭を下げる小雪の前を通って階段を下りる。
降りたところに如月が居て、
「どうぞ」
そこからは如月がエスコート。
勿論椅子を引くのも如月の勤め。
私の向かいには、
「お久しぶりですね、千紗さん」
当然のように奏さんがにこりと笑って座っていた。
「えぇ、本当に」
まるで久しぶりに会った親戚の会話。
「何かと仕事が忙しくて。そういえば家具も全部搬入まで済ませたとか」
「はい、素敵なものをありがとうございました」
これが夫婦の会話かしら?
けれどこの距離にほっとしてる私が居る。
「そうそう、ドレスはお気に召しましたか?」
「はい、どれもとても素敵な素材で。着て行くところが無くて残念なくらいです」
一応、嫌味のつもり。だったのに、
「では早速週末に着ていただきましょう」
「えっ?」
彼の台詞に思いっきり後悔した。